静かな時が流れる、それは小さな家の中。

今日も2人の掛け声が、木々の間を覗かせる。

パズー!ごはんできたわよー!

シータ!今日は目玉焼き?

パズー大好きでしょ?

ステラさんのところで、卵をいくつかもらったから、とうぶんは目玉焼きね。

シータ目玉焼きいつも上手に焼けるね、器用な人は何にでも役に立つよ。

わたしでも、人に役に立てる、そんな日が来るといいわね。

くるさ!

その時、オートモービルの音が、外から聞こえてきた。

ん?この音?なんだろう?

あら、貴族の一団でも通りかかったのかしら?

パズーがそっと扉を開けると、そこには6台の車と軍服を着た兵士が数人立っていた。

軍隊!?なにしにきたんだろう!?

前みたいなことはないわよね・・・・?

扉をほんのちょっと開けた状態で様子をうかがう。

するとスーツの男が降りてきて、歩いてくると、家の前で止まった。

私はムスタ少佐だ、君に用があって訪ねてきた。

パズー君、シータ君、そこにいるのは分かってるんだ。

パズーが家の扉をそっと動かす。

安心したまえ、君に危害を加えるつもりはない、ここにいる兵士全員に誓おう。

あまりにも自信に満ちた発言だったので、パズーとシータは家から出てみた。

僕がパズー、こちらがシータです。

ほぅ!

ムスタはパズーに近寄ると、顔をじっと見た。

話では2人で軍隊と大立ち回りをしたと聞く。

とんでもないくらい勇敢な目をしている、私のカンに狂いはなかったな。

するとこうきりだした。

パズー君、シータ君、君達を登用したい。

しかしパズーは首を縦にふらなかった。

パズー君、これは君の才能を買ってのことだ。

こんなところで君ほどの者が埋もれて果たしていいのか?

もっと世界に羽ばたきたくないのか?

パズーの気持ちが揺らいだ。

もし話をのんでくれるのなら、破格の待遇を用意しよう。

そして、シータ君、君にはやらなくてはならない使命がある。

わたしが?使命?

分かりました、その話を受けましょう。

すばらしい!準備はゆっくりで構わない!何時間でも待ってあげよう!

2人は準備を終え、出発した。









あの時の要塞だ。

飛行戦艦がいるわ。

ゴリアテより、先進的だ、明らかに性能が良いよ。

お目が高いパズー君。

あの戦艦はアリアエと言って、第2世代に属する飛行戦艦なのだよ。

第1世代のゴリアテとは比べ物にならないくらい性能が突出している。

我が軍の最新鋭飛行戦艦だ。

ではなんでこんな所にそんな飛行戦艦がいるのですか?

何か感づいたか、君は賢いな、そのうち分かるものだよ。

要塞に到着した。













パズー君はこっちだ、シータ君は私と来てもらう。

僕は何するんです?

おい、パズー君を案内しろ。

中年士官がパズーを案内する。

ほどよくしてハンガーに出た。

すごい、前はこんなものなかったのに。

ここに来たことがあるのか?社会科見学かなにかかな。

これは数年前に敵に破壊された際、修復のついでに改修をしたのだよ。

ほら、君の部下だ。

すると中年おやじがこちらに向かってきた。

おー!なかなかわっかいのがきたのー。

熊猫だ、人に使われるのが大好きなヤツだ。

君の部下とするように命を受けている、好きに使え。

はい!

おー坊主、悪いがぁ今日中にこの小型飛行艇の整備を終えにゃならん、手伝ってくれんか。

わかりました、手伝いましょう。

おらに敬語はいらんがな。

部下とはいえ、年上にタメ口はないでしょ。

ほほぅ、なかなか骨があるヤツだ、中に入りな。






すごい、なにもかも新しい!

ムスタ少佐が設計した小型飛行艇、チェンタウロだ、そんなそこらのとは違うぞぉ。

さっき人に使われるのが大好きと説明を受けました、生粋の仕事師なんですね。

おらぁ人に使われなきゃ生きていけんかったから人に使われるのが好きになっただけよ。

いえ、あなたのその顔は人の役に立つことが喜びのような、そんな感じです、隠したってムダですよ。

ははぁ!30年やっててそんなこと言えるヤツはお前以外一人もいなかったぞ。

気に入った、なんでも言うこと聞いてやる。

すると兵士が突然来て。

パズー君、ムスタ少佐がお呼びだ。

なんだろう?行ってくるね!

おぅ!今日中に間に合うかな。












豪華絢爛な部屋にパズーは呼び出された。

入りたまえ。

失礼します。

前に歩く。

シータがいた。

呼び出したのは他でもない、「ラピュタ」を知っているかね。

君のお父さんが発見したという伝説の神殿だ。

少佐は信じるんですか?

信じるも何も、兄さんも発見したからね、信じないわけにもいくまい。

兄さん?少しパズーは引っかかった。

残念ながら、ラピュタは何者かの手によって崩壊してしまった。

近くの漁師の報告があってね。

でもそれはラピュタ神殿に限ったことなのだよ。

どういうことです?

何かを知っているかのような反応だね、君を登用して正解だった。

まだこの空には、小ラピュタと言われる、他国攻撃用の兵器が存在しているらしい。

その破壊力はラピュタ神殿の20倍とも言われていてね。

安全保安上、排除しなくてはならない存在なのだよ。

あなたは何者です?

聞かなかったのかな?私はムスタ、ムスカ大佐の実の弟だ。

!!

その時、電話が鳴る。

なにかね?

なに?発見した?でかした!!

すぐに有志の方々へ連絡しろ!

パズー君、シータ君も連れて行くから同行しないか?

その時、パズーは数年前のムスカ大佐の行動を思い出していた。

なるほど、若い者はすぐぼーっとするからいかん、シータ君だけ連れて行く。

するといきなりパズーは激情に駆られた。

シータがあの時みたいに連れ去られる!今度も許さない!

背後からムスタに殴り掛かったが、スーツの男2人に取り押さえられた。

パズー君、もしや同行を拒否されたことで怒ったのかな?

そうだとしたら、その若さは命取りだ。

ムスタは去って行った。











ハンガーにとぼとぼ来ると、熊猫が待っていた。

おー!少年!待ってたぞ!

僕はパズーです。

パズー君、さあ乗ってくれ!

エンジン始動!どうだ!?この静かで快適なエンジン音は!

しかし暗い表情は崩さない。

もう少し整備があるから、手伝ってくれ。














どこへ連れて行くの?

これに見覚えがあるかね?

それは!

飛行石さ、兄さんに見つからないように隠し持っていたものさ。

世界を探せば1つや2つはあるものだね。

それじゃあ・・・・・あなたはまた王に!?

そのくらいの野心はあるものだよ、男は。

後ろを向いてシータは不安を爆発させた。

さあアリアエに搭乗だ。











突然、熊猫さん、これって動かせます?

あー大丈夫だ、整備の大半は済んだから。

ムスタ少佐は王になるつもりかもしれない。

おー!可能性はあるぞー。

でもその分優しいお方だから、王になっても問題ないだろう?

冗談まじりで放った。

シータを取り返す。

いきなり行動すると熊猫に、発進してよ!アリアエを追うんだ!

なーんだパズー、さてはアリアテに搭乗して、首都に行きたかったのか?

あそこはなーんでもあるぞ。

首都に行くって名目なんだ・・・・。

パズーはエンジンを回した。

あらぁ、もう新型エンジンの回し方覚えてらぁ、機械に強いんだなぁ。

すると兵士が来て、「どこへ行く?」

テスト飛行です、作られたばかりなんでしょ?

いいだろう、話をつけておく、兵士は去って行った。

いいねぇ!わしも若い時は無茶したもんさ、付き合ってやるよ!

ハンガーから発進していった。

すごい加速力だ!

アリアテに追いつけるくらいの速力はあるぞぉ!

あっという間に雲の中に入った。

アリアテだ!追跡して!

おうよ!アリアテ速力上げてるな。

チェンタウロは追跡を開始した。













正確な位置は分からないのだな?

はい!

飛行石が頼りか。

ねぇ、わたしをどうするの?

心配しなくていい、君を無事に返す事をクルー全員に誓おう。

ちょうど紙とペンもある、必要なら誓約書を書こうかね?

報告が入る、前方に巨大な積乱雲があります!

電話で、兄さんはゴリアテでそこにそのまま突っ込んだ、進め!

むりよ!この艦は耐えられないわ!

女性に理屈は分からんものだよ、まぁ見ていたまえ。

すると10分後には、あっけなく積乱雲を抜けた。

小ラピュタ発見!

うそ!ゴリアテの時はあんなに揺れたのに!

我が軍の最新鋭戦艦をなめてもらっては困るものだ。

発着するぞ、戦闘用意!

戦闘!?

君も見物するかね?少々危険が伴うが。









発着後、部隊がぞろぞろと中へ入っていく。

迫撃砲準備!

すると中からロボットが2体出てきた!

歩きながら向かってくるロボットに対し、銃撃を開始。

撃てー!

迫撃砲が発射され、命中したが、ロボットは無傷だった。

電話で指揮をとるムスタは、そいつらは量産型だ、頭を狙え。

2体目は地雷と手りゅう弾で仕留めろ。

迫撃砲の何発かが、ロボットの頭に命中、ロボットはよろけて倒れた。

そこに2体目がレーザーを放ち、爆発、軍隊はひるむが、3人の兵士が突撃して。

2体目の足にマグネット式の対戦車地雷を張り付けて逃げ去った。

ほどなくして爆発してロボットが倒れた。

そこに手りゅう弾の持てる限りをロボットの周りに配置して爆破して撃破した。





ムスタがシータを連れて出発した。

まだいるかもしれん、残らず仕留めろ。

は!

兵士は残敵掃討戦に入った。








あの雲だ!突っ込んで!

がってん招致!

ははーん、さては少佐はわしらにウソついて楽しいことやってるな。

突っ込んで、数分で小ラピュタについた。

アリアテだ!

双眼鏡で確認すると、ムスタとシータだ!

くそ!

あそこの桟橋なら大丈夫そう、そこにつけて!

お安い御用!

桟橋に到着した。

中に入り、しばらく走っていたら調査中の兵士数人と士官がきた。

なんだ?あの時の新米じゃないか?なにしにきた?

さては、手柄が欲しくてわざわざ戦いに来たのか!なかなか勇敢なやつじゃないか!

君みたいな若者は嫌いじゃないぞ!

ほれ、軍の備品のリボルバーだ、持ってけ!

運はパズーの味方をした。










この辺りでいいかな。

シータ君、飛行石を持ちたまえ。

え?

私はカンが冴える男でね、ラピュタ神殿の崩壊も、君が原因じゃないかと考えてるんだ。

ゴリアテに搭乗しながら、君は生還している、そして君は王家の人間だ。

これはいい状況証拠じゃないのかね?

なんでわたしに?

君にはね。

そこを動くな!

パズーがリボルバーを構えて立っている。

すばらしい!こんなところまで追いかけてくる行動力!

ますます君を育てたくなったよ!

ムスタは少しずつ近寄ってきた。

シータを返せ!お前はムスカと同じだろ!

ムスタは手を後ろで組んで後ろを向き。

パズー君、君は勘違いをしている。

兄さんとは敵対関係にあってね、ある時ラピュタ王になろうとしたのに私は気づいた。

そこで議会でラピュタ調査に反対したんだがね、黙殺されてしまったのだよ。

ムスタが再びパズーに近寄り。

さっきアリアテがこうも簡単に小ラピュタにたどり着いた光景を見ただろう?

こんなにも簡単に小ラピュタにたどり着く技術を、我々は手に入れた。

するとどうなる?政府の連中はそのうち小ラピュタを思うがままに操る。

行く行くは戦争の兵器として使うつもりだろう。

あんな最悪の破壊力の兵器を戦争に使われたりでもしたら、何百万もの人の命が失われる。

私は王家の子孫として、負の遺産である小ラピュタを処理しなくてはならない。

君には説明が足りなかった、許してくれ。

パズー、この人いい人よ。

パズーは静かに銃を下げた。






兵士がやってきた。

全員に通告、兵をひとり残らずアリアテに帰還させろ。

はっ!

さあ、シータ君、何かやったのだろう?

呪文でもあるのではないか?

はい、あります、あなたに協力することにします、目をつむっていてください。

しかしムスタは興味がありすぎて、目をつむらなかった。

パズーいい?

いいよシータ。

「バルス!」

すると石はとんでもない光を放った。

ムスタは素晴らしい反射神経で光をかわした。

光が収まった。

これで終わりかね?

すると地震のような揺れが発生、要塞が崩れ始めた。

なるほど、これで崩壊したのか、目印はある、パズー君、シータ君来なさい。

退避していく3人だったが、崩壊が速すぎて、通路が崩れてしまった。

なんと!

少佐!こっちに僕が乗ってきた船がある、そこで脱出しよう!

船のもとへたどり着くと、すぐさま出港、難を逃れた。

あーらー少佐も一緒だ、連れて帰るなんてやるもんだなあ。

これで私の王家としての務めは終わりになるだろう。

パズー君、シータ君、どうもありがとう。

アリアテをバックに夕日を眺めながら、飛行艇は離脱していった。









要塞に帰還した。

入りたまえ、パズー君。

はい!

さて、あそこまで食いついてくる君の行動力を買うことにした。

なに、説得してみたら私の叔父の中将殿が君に少尉の位を授けようということになった。

それと兵20名を君の部下としよう。

そんなに僕を買ってくれるんですか?

君の、能力に対する正当な評価だ、受け取りたまえ。

はい!

あとだな、この町に拠点を移す気はあるかね?

え?

その時は私に相談するように。

ありがとうございます。

失礼します!

パズーは退室した。

側にいた側近が言う。

少しかわいがりすぎでは?

そう言うと思っていたよ。

しかしだな。

今回はシータ君のためだけに私をあそこまで追いかけてきた。

かなり必死だったよ。

それがシータ君ではなく、「国のため」だったら、どうなると思う?

失礼しました!

敵にすると恐ろしい男だが、味方につければ百人力。

今はまだ若いが、大事に育ててやらねばならんな。


      



大空を翔る、夢と情熱に満ちた、金色の時代。

若鳥を従え、成長させていくと明言する、1羽の隼。

時は過ぎ、若鳥が大鷲に育つ日も、そう遠くはない。











































※著作権放棄作。

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※よって、当作品はジブリスタジオの所有作品となります。